君の隣が、いちばん遠い



わたしが冗談めかして言うと、彼は「それは困るな」と笑った。


「推薦の準備、大変?」

「うん。書類とか面接とか……でも、それだけじゃなくて、やっぱり落ちたときのこと考えると、一般の勉強も手を抜けなくて」

「そっか。すごいな、ひより」

「すごくなんかないよ。ただ、怖いだけ。全部中途半端になっちゃうんじゃないかって」


ぽつりとこぼれたその言葉に、遥くんはしばらく黙っていた。

そして、静かに口を開いた。


「でも、ひよりは頑張っているよ。推薦の準備も、一般の準備も。俺は、一般で勝負するって決めてるからさ。たぶん、こっちのほうが自分には合ってると思って」

「わたしだって一般がダメだったらってことを考えての推薦だったけど、これがどう転ぶかもわからなくなっちゃったしね。遥くんの選択が正しかったんじゃないかって思うときあるよ」

「でもな、俺思うんだけどさ。推薦だろうが、一般だろうが、自分が“これで行く”って決めた道なら、どっちも正解なんじゃないかって」


彼の言葉は、わたしの心にふっと風を通した。