君の隣が、いちばん遠い



そして、夏期講習の最終日。


帰り道、遥くんとわたしは近所の神社へ寄り道をした。

少し高台にあるその神社は、階段を登ると街が一望できる場所。


「夕暮れ、きれいだね……」

「うん。こうやって見ると、夏ってやっぱり特別な感じがするな」


二人並んで座ると、わたしはリュックのポケットからペットボトルのお茶を取り出して渡した。


「はい、今日もおつかれさま」

「おう、ひよりも」


ひと口飲んで、彼がふぅっと息を吐いた。


「来年の今ごろって、どうなってるかな」

「うーん、志望校受かって、春には大学生になってる……といいな」

「きっと、そうなるよ。ちゃんと努力してるし」


そう言ってくれる彼の言葉は、いつも自然で、でも心強い。


「……ねえ、遥くん」

「ん?」

「わたし、これからも、あなたと一緒に頑張っていきたい」