「ひよりがいたから、俺、自分のやりたいことを貫こうって思えたんだ。……本当に、ありがとう」
静かに、でもまっすぐに、彼はわたしの目を見て言った。
その言葉が、胸の奥までじんと染み込んできた。
「わたしもね……ちょっとだけ、自分の進む道が見えてきたの」
「先生になりたいって、言ってたよな」
「うん」
わたしはうなずいた。
「誰かの背中を、そっと押せる人になりたいなって思ったの。久遠先生みたいに。……それに、遥くんのことを見ていて、思ったんだ。誰かの力になれるって、すごいことだって」
「ひよりなら、絶対なれるよ」
そう言ってくれる彼の言葉が、何よりも心強かった。
静かな午後の日差しの中。
ふたりの間に流れたその沈黙は、とても優しいものだった。



