「わたし、彼が自分の道を見つけたことを、本当にすごいって思っています。今はきっと、不安もたくさんあると思います。でも、彼は本気です。だから、そばで支えたいんです」
少しの沈黙のあと、お母さんは小さく笑った。
「あなた……いい子ね」
その言葉が、胸にじんと染みた。
「遥には、もったいないくらい」
「そんな……わたし、ただの平凡な女の子です」
「でも、あなたと話していると、あの子のことを少し信じたくなる。不思議ね……」
その日の夕方。
わたしが帰ったあと、お母さんはお父さんにそっと言ったらしい。
「……あの子のこと、わたしも信じてみようかしら」
それから数日後の朝。
いつものように問題集を開いて黙々と解いていると、お母さんがトントンとリビングに入ってきた。
「遥、ちょっと」
「え? なに?」
遥くんは、珍しく驚いた顔をしてお母さんのほうを見た。



