君の隣が、いちばん遠い



「ありがとう」

「うん」


それから、また少し沈黙が流れる。

でもそれは、どこか優しくて、心地よかった。


「……遥くんはさ」


わたしは勇気を出して、彼の名前を呼んだ。


「これから先、どんな道に進んでも……わたし、そばにいたいなって思ってる」


彼は少し驚いた顔をしたけど、すぐにまっすぐわたしを見た。


「俺も同じこと、思ってた」


わたしたちは、ふたりして顔を見合わせて、照れくさそうに笑った。


「進路とか、将来とか、不安もいっぱいあるけど……でも、そういうのも含めて、一緒に考えていけたらいいなって」

「……うん。たぶんそれが“支える”ってことなんだよね」


彼の言葉は、そっとわたしの中に染みこんでいった。


未来はまだぼんやりしていて、今も全部は見えない。

けれど、それでも今こうして言葉を交わせることが、なによりの支えだった。