君の隣が、いちばん遠い



「えっと……少し、お時間いただけますか」

「もちろん。こっち来な」


案内されたのは職員室の隅、打ち合わせ用の小さなテーブルだった。

春休みで生徒も少ないからか、まわりに他の先生たちの視線はなくて、少しだけ気持ちが落ち着いた。


「進路のこと、だろ?」


先生は水の入ったコップをわたしの前に置いてくれながら、やさしい声でそう言った。

わたしは、うなずくことしかできなかった。


「実は、まだ志望校とか決まってなくて……。みんな、もうある程度は決まってるみたいで……。だから、ちょっと焦ってて……」


わたしの声は途中でかすれてしまって、最後の方は先生が聞こえたかどうかもわからなかった。


「焦るのは当たり前だよ。むしろ、それを口にできるだけで偉いと思う」


先生はそう言って、少し目線を落とした。