元旦の朝。

家の外は、雪がうっすら積もっていた。


「ひよりー、手袋忘れないでねー!」


美帆ちゃんの声に笑いながら、「はーい」と答えて玄関を出た。


待ち合わせ場所には、遥くんがもう来ていた。

グレーのコートを着て、白い息を吐きながら立っている。


「寒いね」

「うん、でも来てくれてありがとう。今年も一緒に初詣行けるの、嬉しい」


自然と、手が伸びて彼の手を握った。

手袋越しのあたたかさが、心に染みる。


神社までは徒歩で10分ほど。

道すがら、近所の人たちとすれ違いながら、わたしたちは去年とは違う「ふたり」を確かめるように歩いていく。


「そういえばさ、去年のいまごろ、まだ付き合ったばかりで、お互いすごく緊張してたよね」

「うん。そうだね。LINEのやり取りだけで精いっぱいだった」

「もう一年経ったんだな……はやいな」