わたしたちは自然と並んで、エレベーターの前へ向かった。

エレベーターの扉が開き、乗り込むと、二人きりの静かな空間になった。


ふと、白石くんの視線がわたしの手元に落ちる。


「あ、それ……」

「え?」


白石くんの視線の先にあったのは、左手の薬指に光る、細いシルバーのリング。


「……一ノ瀬から?」


わたしは少し恥ずかしくなって、指先でリングをなぞった。


「うん。クリスマスに、一周年記念で。わたしもプレゼントしたんだけど」


言いながら、自然と笑みがこぼれる。

あのときの光景がよみがえって、胸があたたかくなる。


「……そっか」


白石くんの声は、少し低かった。