「一年前の今日、ここまでは想像できなかったな」
「うん。……でも、今はこうしていられて、本当にうれしい」
「俺も。ひよりといる時間が、いちばん落ち着く」
沈黙。
けれど、その静けさは心地よくて、何も言わなくても通じ合える気がした。
そのとき、遥くんがわたしの肩にそっと手を回した。
「ひより……目、閉じて」
「え……?」
驚きながらも、わたしはそっと目を閉じる。
次の瞬間、唇にやわらかな感触が触れた。
――キス。
わたしと遥くんの、初めてのキスだった。
ほんの一瞬。
でも、世界が止まったように感じた。
目を開けると、遥くんが少し照れくさそうに笑っていた。



