君の隣が、いちばん遠い



「……去年のクリスマス、思い出すね」

「うん。あのとき、ちゃんと想いを伝えられて、今もこうしてひよりといられてよかったって思うよ」

「わたしも、あのとき想いを伝えられてよかった」

「でも、俺さ。あのときより絶対今の方がひよりのこと好きな自信ある」


そんなふうに言われると、涙が出そうになる。

一ノ瀬くんはずっと、わたしとの時間を大事にしてくれていて、わたしを想ってくれていたんだ。


トンネルを抜けた先に、小さなカフェがあった。

あたたかな灯りが洩れていて、窓際の席にはすでに何組かのカップルが座っている。


「ここ、入ってみようか」

「うん」


ホットチョコレートとミルクティーを頼んで、少し甘いケーキもシェアすることにした。


「ひより、今日……来てくれてありがとう」

「わたしのほうこそ……今日はずっと、楽しみにしてたから」

「俺も、ずっとこの日を思ってた」


彼の言葉は、まっすぐであたたかい。