「うん。……考えてるよ。でも、ちゃんと自分で答え出したいなって思ってる」
「そっか。ゆっくりでいいと思うよ。……すごく大事なことだし」
「ありがとう、ひより」
紗英ちゃんの目が、ほんの少し潤んだ気がした。
そのあと、二人でふざけながらお弁当をつついた。
おしゃべりの合間、笑い声が自然とこぼれて、こんな時間がいつまでも続けばいいのにと思った。
放課後、わたしは塾へ行く準備をしていた。
2学期に入ってから、学校の授業だけでは不安な部分を補うため、数学はずっと通い続けている。
「行ってきまーす」
玄関から声をかけると、美帆ちゃんがリビングのほうからひょこっと顔を出した。
「今日、ちょっと帰り遅いんでしょ?気をつけてね」
「うん、ありがと。叔父さんと叔母さんにもよろしく言っといて」
「うん! ひより、最近ちょっと変わったよね」
「え?」



