「へぇ〜〜〜〜いいなあああ〜〜〜!」


紗英ちゃんのからかい混じりの声に、わたしは顔を赤くしながら笑った。


「でもね……やっぱり、不安になることもあるよ。好きって、うれしいだけじゃないから」


みんながうなずいてくれた。その表情の奥に、紗英ちゃんの優しさと、少しの切なさが見えた気がした。



布団に入り、消灯時間を過ぎたころ。


窓の外から虫の声が聞こえる。

わたしは天井を見つめながら、考えていた。


「彼氏ができたから、何かが全部変わるわけじゃない」


でも、心の中に生まれた“誰かといたい”っていう気持ちは、本物で――

明日もまた、新しい景色を、あの人と一緒に見られたらいいな、って思った。