夜、旅館に到着すると、わたしたちは浴衣に着替えて、夕飯を囲んだ。


「天ぷら!お刺身!お吸い物……これ、豪華すぎじゃない?」


紗英ちゃんが目を輝かせる。


「ほらほら、全部写真撮ってインスタにアップしなよ」


柊くんがスマホを構えて、紗英ちゃんにカメラを向ける。


「え、今すっぴんだから無理〜!あとで自撮りでアップする!」


笑いが弾けて、私も自然と口元が緩む。


食事のあとは、大浴場へ。

たっぷりのお湯に浸かって、部屋に戻ると、すでに布団が敷かれていた。

女子4人部屋の中で、自然と恋バナが始まる。


「ひより、彼氏できて、どう?変わった?」


その問いに、わたしは少しだけ考えた。


「……うん、変わったと思う」

「どんなふうに?」

「毎日が、ちょっと特別に思えるようになった。今まで当たり前だったことが、誰かと共有できるって、こんなに嬉しいんだなって」