帰り道。 わたしたちは言葉を交わさず、ただ並んで歩いた。 足音だけが、静かに路面に響く。 「……こっちだから」 分かれ道の前で、わたしが小さく言った。 「そっか。……また、学校で」 「……うん」 わたしたちは、また反対方向に歩き出す。 その背中は、まだ遠いけれど──心のどこかに、今日の風が残っていた。 夜の川の水面が、静かに揺れていた。