始業式を終えて教室に戻ると、紗英ちゃんが教室の窓際で柊くんと話していた。


「……やる気あるの? ないの?」

「いや、あるけど。なんていうか……うーん」


紗英ちゃんはあきれたような表情を浮かべながらも、どこか気にかけている様子だった。

わたしは、そんなふたりを見つめながら、自分の胸の中がもやもやするのを感じていた。


ふたり、なんだか最近、ちょっと距離があるような……


わかりやすいようで、わかりにくい。

そんなふたりの関係に、わたしは言葉にできないざわつきを覚えた。







放課後。

塾に向かう道すがら、わたしは心の中で明日の予定を確認していた。


――来月の十三日は修学旅行。

その週は、まるごと学校行事で埋まっている。


塾に入って受付に声をかける。


「すみません、来月の十三日は修学旅行なので、お休みさせていただきたいんですけど……」

「あ、了解です。日程はこちらで調整しておきますね」


そのやりとりのすぐ後ろから、ふいに声がした。