君の隣が、いちばん遠い



すぐに柊くんと一ノ瀬くんも合流して、私たちは電車に乗った。

車内では紗英ちゃんと柊くんが終始にぎやかで、私はその横で、一ノ瀬くんと目を合わせて静かに笑った。


海に着いた瞬間、潮の香りが一気に鼻先をくすぐった。


「うわーっ、ひろい!」


思わず声を上げてしまった私に、一ノ瀬くんが小さく笑った。


「はしゃぐ佐倉さん、珍しい」

「はしゃいでなんか……!」

「でも、似合ってるよ。そういうの」


ふいにそんなことを言われて、私の顔は一瞬で熱くなった。

そんな私の様子に気づいたのか、紗英ちゃんがさりげなく柊くんを引っ張って、少し離れた場所へ連れて行った。


「ね、柊。向こうにいい感じの岩場があったよ。写真撮ろ!」

「え、あ、うん?……って、なんで俺?」

「いいからっ。空気読もうよ?」


小声でそんなやり取りをしているのが聞こえて、私は笑いそうになった。