「こちらが教育学部の展示室になります」


案内された部屋には、小学生向けの教材や、実習で使う模擬授業の映像が流れていた。


説明をしてくれた先輩は、柔らかい口調で「ここの学部に入る人って、教えることが好きな人が多いんですよ」と話してくれた。


「わたし、まだ……将来、何になりたいか分からないんです」


ふと、そうこぼしていた。

先輩は、少しだけ驚いたような顔をして、それから頷いた。


「それでも、ここに来たのは、ちゃんと意味があると思うよ。興味があるって、十分な理由だと思うから」


……わたしは、教育の現場に興味があるのだろうか。


誰かを支えたり、力になれたりする存在に、なりたいと思っているのかもしれない。

それが“先生”という形かどうかは、まだ分からないけれど。