君の隣が、いちばん遠い



放課後、三人で駅前のファーストフード店に入った。

柊くんがいつものようにアイスを頼み、紗英ちゃんがそれを見て笑っている。


「ほんと、アイス好きだね」

「年中無休だからな、俺のアイス愛は」


柊くんはいつもと変わらない調子だけど、どこか意識しているように見えた。

逆に紗英ちゃんも、わざとそれを茶化すようなテンションで応えている。


もしかして、気づいてないふりをしているのかな――お互いに。

わたしはストローをくるくると回しながら、そのやりとりを見守った。


それに比べて、わたしたちは……。


スマホの通知を確認する。

未読のままのLINE。


一ノ瀬くんから、昨日の夜に「塾終わった」とだけ来て、それから返信がない。


忙しいのは、わかってる。

でも、ちょっとだけ寂しい。

ほんの、ちょっとだけ。


その夜、ようやく届いたメッセージは、短いもので。


「ごめん。いろいろあって、疲れて寝てた」


画面越しに送られてくる「ごめん」に、わたしは「ううん、大丈夫」と打ち込んで送信した。


ほんとうは、大丈夫じゃなかったのに。