君の隣が、いちばん遠い



「また会うとは思わなかった。ここ、通ってるんだ」

「うん、数学だけ。苦手だから……」


わたしがそう言うと、白石くんはちょっと驚いたような顔をした。


「でも、英語とかめっちゃ得意だったじゃん。数学も案外すぐ追いつけるんじゃない?」


その言葉が、少し嬉しかった。


「でも、白石くん。この前までわたしと中学一緒だったってこと気づいてなかったよね?」

「まあね、実は森下から佐倉さんのこと聞いたっていうか、聞かされたんだ。学年で1,2を争うほど頭良かったのに、覚えてないのって。英語なんて毎回って言っていいほど、1位だったって言ってたから」


まさかゆいちゃんからの情報が渡っていったことに驚く。

けれど、あまりに申し訳なさそうに白石くんが言うものだから、思わず笑ってしまった。






わたしはスマホを胸元にそっとしまいながら、ぽつんとベッドに座った。

白石くんと偶然塾で再会したこと。

一ノ瀬くんとそれを共有できたこと。

なんでもない日常の中に、小さなできごとが少しずつ積み重なっていく。