本当は少し寂しかった。
教室で彼の姿を見るのが当たり前だったのに。
週によっては一緒の授業がまったくない日もあるという現実に、胸がきゅうっと締めつけられる。
でも、それでも、わたしたちは付き合っている。
放課後、一緒に帰れることもあるし、週末にはカフェで勉強することもある。
「今日、帰り寄り道できそう?」
「うん、少しだけなら」
自然と足が揃う。
前よりも歩幅が合うようになったのは、きっと気持ちの距離が縮まったからだろう。
春からわたしは塾にも通い始めた。
自分なりに、少しずつ進学を意識するようになったからだ。
苦手な数学だけ、週二回。
初日の緊張は今でも忘れられない。
教室に入った瞬間、目が合ったのは白石陸くんだった。
「あれ?佐倉さん?」
「白石くん……久しぶりだね」
彼とは春休みに偶然会ったばかりだったけれど、こうして再び会うとは思っていなかった。
白石くんは理系らしく、中学の頃は一ノ瀬くんと同じく成績も良かったはず。
塾では数学と英語を取っているそうで、わたしのクラスにも顔を出していた。



