君の隣が、いちばん遠い



午後。

喫茶店で待ち合わせたゆいちゃんとの再会は、まるで時間が巻き戻されたみたいだった。


「ひより、変わったね。すごく明るくなった」


笑顔でそう言うゆいちゃんは、変わらず優しくて、柔らかい雰囲気のままだった。


「ありがとう。たぶん……色んな人に出会えたからかな」

「一ノ瀬くんと付き合ってるって聞いたとき、びっくりしたよ。でも、すごくお似合いだと思う」


頬が赤くなるのを隠しきれないまま、わたしは「ありがとう」と呟いた。

しばらくすると、店の窓の外を歩いている見覚えのある姿が目に入る。


「……あれ、白石?」


一ノ瀬くんが言ったその名に、わたしも思わず振り返る。

中学時代、一ノ瀬くんを一方的にライバル視していたという白石くん。


文化祭のときにふらっと、わたしたちの高校に遊びにやって来て、久しぶりにその姿を見たっけ。

彼はわたしたちに気づき、驚いたような顔をしながら喫茶店のドアを開けた。