「え……そ、そうですか?」
「もしかして、彼氏できたとか?」
一瞬、言葉に詰まってしまった。
でも、隠すことでもないと思った。
「……はい。実は、クリスマスに」
「わぁー! ほんと!? おめでとうーっ」
沙月さんは、本当に自分のことのように喜んでくれて、わたしはうれしくなった。
「どんな人? 同じ学校?」
「同じクラスで……優しくて、真面目で……ちょっと不器用ですけど」
「ふふ、ひよりちゃんぽい。いいなぁ、なんか青春って感じ!」
そんな会話をしながら時間は過ぎて、夕方、そろそろ終わりの時間が近づいてきたころ。
制服にコートを羽織って、レジ締めの確認をしていたときだった。
ふと外を見ると、見慣れた後ろ姿が店の前に立っていた。
一ノ瀬くんだった。
わたしは思わずレジを打つ手を止めて、ガラス越しにその姿を見つめた。
「え……なんで?」



