日曜日の朝、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。

まだ寒さが残る三月の半ば。

窓の外ではうっすらとした雲がかかり、晴れきらない空が今日の気分を映しているようだった。


今日はホワイトデー。

世間がバレンタインデーのお返しでそわそわする日。


わたしも、朝から少しだけ、心がそわそわしていた。


食卓では、叔母さんと叔父さん、そして美帆ちゃんが朝食を囲んでいた。

叔母さんが淹れてくれた紅茶の香りが部屋に漂っていて、まだ少し眠い頭をゆっくりと覚ましてくれた。


「……でさ、わたしは専門学校でいいと思ってるの。大学に行きたいわけじゃないし」


美帆ちゃんが言った。

どうやらわたしが部屋で着替えていた間に、進路の話になっていたらしい。


「そうか。でも、専門っていってもいろいろあるし、ちゃんと調べて選ぶんだよ」


叔父さんが新聞をめくりながら、少しだけ優しい声で言う。