君の隣が、いちばん遠い



──昼休み。

紗英ちゃんと席を並べてお弁当を広げようとしたとき、わたしの机の横に一ノ瀬くんが現れた。


「……佐倉さん、空き教室、行かない?」


柔らかく問いかけられて、わたしはきょとんとしたあと、すぐにうなずいた。


「……うん」

「わっ、私、お邪魔虫ね! はいはい、どうぞどうぞ、お熱いことで〜」


紗英ちゃんがわざとらしくため息をついて席を立った。


「それより先に……まだ言ってなかった! 2人とも、おめでと!」


そこへ柊くんがにやにやと笑いながら合流した。


「いやー、年末年始、一番のビッグニュースだったよな。な? 吉岡」

「ようやくくっついたのか。めでたいな」


冷静にそう言ったのは、隣の席の吉岡くんだった。

教室中がそのやりとりを聞きつけ、さっそくざわつき始める。


「え、ほんと? 佐倉さんと一ノ瀬くん!?」

「やっぱりお似合いだよね〜!」