「え、まさか……手袋?」
ふたりして顔を見合わせて、そして吹き出した。
「気が合うね」
「……ほんとに」
互いのプレゼントを交換し、さっそくそれを手にはめて歩き出す。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
わたしたちがまず向かったのは映画館。
映画館で並んで座り、クリスマス限定の恋愛映画を見て、ちょっとだけ照れたりした。
街中のイルミネーションを見ながら、カフェで温かいココアを飲んで、手袋越しに手が触れるたびに笑った。
どこにいても、ふたりの心は穏やかで、言葉がなくても通じ合うような感覚があった。
そして、帰り道。
冬の空気が肌を刺すような冷たさに変わっていたが、それでもふたりの歩幅はぴったりと揃っていた。
公園の外れ、少し高台になった場所で立ち止まる。
下には小さな町の夜景。
星が瞬き、街灯が地面を照らす。
しばらくの静けさのあと、一ノ瀬くんがぽつりと口を開いた。



