君の隣が、いちばん遠い



教室の窓から射し込む光は、すっかり冬の色をしていた。

空気は澄んで冷たく、吐く息が白くなるのも時間の問題だった。


昼休み、教室のあちこちで「クリスマス、どうする?」という声が飛び交っていた。


「え、誰かと過ごすの?」

「彼氏とかじゃなくてもいいから、みんなで集まらない?」


そんな話題の中心にいるのは、紗英ちゃんとクラスの女子グループだった。


「ひよりも、予定あるの?」


紗英ちゃんがふとこちらを向いた。


「え……うん、ちょっとだけ」


誰にも言っていないけれど、心の中ではあの日の約束を大切に温めていた。

その時、クラスの男子グループのひとりがふと思い出したように口を開く。


「そういえば、この前さ、クリスマスにみんなで集まんないかって話あったじゃん? 一ノ瀬には声かけたけど、ダメだったって」

「え? そうなの?」