君の隣が、いちばん遠い



「美帆から聞いてたのよ。ひよりに彼氏ができたって」


叔父さんは眉を少し上げて、でも何も言わずに大きく頷いた。


「ひよりが変わったのは、みんなのおかげね。ありがとう。これからもよろしくお願いします」


その言葉に、わたしは思わずうつむきながら小さく「……ありがとう」とつぶやく。

叔母さんと叔父さんに見送られながら、4人で校門を出る。


「おじさんとおばさん、優しそうだったね」

「びっくりしたけど、ちゃんと話せてよかった」


紗英ちゃんの言葉に、わたしは笑顔になった。


「それにしても、今日の話題、濃すぎじゃね?」

「ほんと。顔真っ赤だったよ、ふたりとも」


柊くんが笑い、紗英ちゃんがからかう。

そんな会話の中、一ノ瀬くんがそっとわたしに近づいて、耳元で小さくつぶやいた。


「……クリスマス、楽しみにしてる」


その声に、わたしの心臓が跳ねた。

顔を真っ赤にして振り返ると、一ノ瀬くんはにやりとも照れたようにも見える笑みを浮かべていた。