教室の隣、面談室の椅子に三人並んで腰掛けると、担任の久遠先生が柔らかな笑顔で迎えてくれた。


「ひよりさん、よく頑張ってくれています。成績も安定していて、特に英語と現代文は学年でも上位です」


そんな先生の言葉に、わたしは視線を落とし、小さく頷く。


「……ありがとうございます」


そのとき、叔母さんが、少しだけ躊躇うように口を開いた。


「先生。私たち、数年前からうちで一緒に暮らしてるんですが……」


久遠先生が静かに頷きながら、話を促す。


「最近になって、ようやく……ひよりが、笑うことが増えてきて。でも、それと同時に、どこか遠慮してるんじゃないかって、感じることもあって」


言葉を選ぶように、叔母さんは続ける。


「本当の親じゃないから、甘えられないんじゃないかって……そんなふうに思ってしまうんです。でも、私たちは、ひよりが少しでも心を許してくれていたら、それだけで十分で……」