「合宿日程、出たね」


隣の席で紗英ちゃんが声をかけてくる。


「……うん。けっこう、本格的なんだね」


冬休み中のバスケ部合宿。

その臨時マネージャーとして、わたしたちは2日間のサポートを頼まれていた。

場所は学校、日帰りで朝から夜までの練習に付き添うことになる。


「朝の集合、7時半かぁ……早起き、がんばらなきゃだね」

「ね。しかも8時からもう練習開始って……体育会系ってやっぱすごい」


ふたりで顔を見合わせて、小さく笑った。







そして迎えた、合宿初日。


まだ日も昇りきらない時間に家を出たわたしは、凍てつく空気の中を手袋にぎゅっと指を縮めながら歩いていた。

学校の体育館前にはすでに十数人の男子たちが集まり、笑いながら準備運動を始めていた。


「佐倉さん、こっちにボール並べてくれる?」

「あ、はい」


慣れない声かけに、ぎこちなく応えながらも、一つひとつ丁寧に準備を進める。