12月の空気は、ひときわ澄んでいて冷たかった。
吐く息が白く浮かび上がる朝。
わたしはマフラーを巻かずに駅へ向かう途中、冬の空を見上げながら思った。
——冬って、こんなに空が広かったっけ。
その日、臨時マネージャーとしての仕事が本格的に始まった。
バスケ部の冬合宿。場所は学校。
1泊2日ではあるものの、わたしと紗英ちゃんは宿泊せず、朝から夕方まで部のサポートをするという形だ。
「お願いがあります!」
朝、柊くんが大げさな声を上げて、両手を合わせてきた。
「なに!?告白!?やだ、無理〜〜」
紗英ちゃんがわざと肩をすくめて大声で言い返す。
すると、クラスメイトたちが「おお〜〜!」と騒ぎ始めた。
「違う違う違う!マネージャー頼んだろ!?日程表出たの!だからよろしく!!」
走り去る柊くんの背中を追ってからわたしは、教室で配られた一枚のプリントをじっと見つめた。



