「今月、三者面談、あるんです……。もし、ご迷惑じゃなければ、来てほしいです」


言った直後、心臓がどきどきした。

一瞬の沈黙のあと、叔母さんは目を丸くして、それからふっと笑った。


「もちろん。呼んでくれてありがとう、ひより」


ダイニングのドアの向こうで、美帆ちゃんがそっと顔を出す。


「ひより、かっこよかったよ」

「……聞いてたの?」

「ばっちり。でも、ママもパパも、絶対嬉しいよ」


わたしは、照れくさそうに笑った。


白い湯気の立つ味噌汁のにおいが、やけにあたたかく感じられた。

少しずつでも、話せるようになってきた。


そのことが、自分の中で大きな一歩に思えた夜だった。