「三者面談のことだけど、ご家族にはもう話してある?」
一瞬、迷ってから「……まだです」と答えた。
「そっか。夏も来られてなかったから、もしかして……って思ってた」
先生の声は責めるようなものではなく、あくまで優しかった。
「でも、今回は……ちゃんと話してみようと思ってます」
「それは、すごくいい一歩だね」
先生は、静かに笑って続けた。
「大人も、何をしてあげるのが正解か分からないことがある。だから、少しでも“伝える”ことができたら、きっと相手も変わるよ」
「……はい」
その足で、わたしは急ぎ足で駅へ向かい、アルバイト先へ向かった。
今日は文具店の夕方シフト。
面談後すぐに来たため、着替えもギリギリだった。
「おつかれ、ひよりちゃん。間に合ったね」
カウンターにいた沙月さんが、笑いながら迎えてくれた。
「……はい。面談、あって」
「そっか。どうだった?」
少し迷ってから、ぽつぽつと話し始めた。
進路のこと、将来の不安、家の人に話せるか迷っていることを———



