「……今日、買いに行こう」
来週は紗英ちゃんの誕生日。
何をプレゼントしようかと、ここ数日悩んでいた。
「佐倉さん、街に行くの? 用事?」
「うん……ちょっと買い物に。紗英ちゃんの誕生日が近くて」
それを聞いた一ノ瀬くんが、少し間を置いてから言った。
「俺も行っていい? なんか、一緒に選んでみたい」
わたしは驚きながらも、うなずいた。
「……いいよ」
駅前の街には、冬物のコートやマフラーが並び、通りを歩く人の吐く息が白い。
「こういうのとか、どうかな?」
「うーん……紗英ちゃんっぽくないかも」
「確かに。可愛いけど、ちょっとガーリーすぎるか」
わたしたちは並んで雑貨店やアクセサリーショップを巡った。
可愛い小物に目を留めては、首を傾げて意見を交わす。
自然と会話も増えていった。
「……あ」
小さく声を上げて立ち止まったのは、アニメイトの前だった。



