期末テストの返却が始まった教室には、いつもよりも少しだけ緊張感が漂っていた。
「佐倉、満点。さすがだな」
久遠先生の声が響くと、教室の一部から「おー」という小さな歓声が上がった。
「一ノ瀬も満点。やるなー」
「いやいや、佐倉さんのおかげだよ」
一ノ瀬くんが照れくさそうに言うと、周囲からさらに笑いがこぼれる。
わたしは軽く会釈しながら、答案用紙を受け取った。
その隣で、紗英ちゃんがテストを見つめている。
「やったー! 今回は7割超えた! やっぱ勉強会、効いたわ!」
「柊ー、おまえどうだった?」
「……赤点じゃなかった!」
「えっ、それって何点?」
「38点……でも過去最高!」
その場にいた全員が笑い、少しずつ空気が緩んでいく。
放課後。
柊くんは部活へ、紗英ちゃんは家庭の用事で先に帰ることになった。
わたしは、カバンの中にしまったメモを確認する。



