その夜、美帆ちゃんに「一緒にご飯食べよ」と誘われた。
最近は、たまに一緒にリビングで夕飯を囲むことがある。
テレビの音、食器の音、家族の笑い声。
以前はそのすべてが遠く感じていたけれど、今は少しだけ、そこに混ざってもいいと思えるようになっていた。
「でさ、あの子ほんとに彼氏じゃないの?」
サラダを取り分けながら、美帆ちゃんがわたしをじっと見る。
「ちがうってば……ただのクラスメイト」
「でも、赤くなってたじゃん。あれ絶対に意識してるやつ〜」
美帆ちゃんが再びからかうと、叔母さんが割って入ってくれた。
「美帆、あんまりからかいすぎちゃだめよ。でも……ひよりにそういう話が出てくるの、ちょっと嬉しいわね」
叔父さんは相変わらず無口だったけれど、「ちゃんと帰ってこれてるなら、それでいい」とぽつりと呟いた。
それだけで、わたしは胸の奥がふっと温かくなるのを感じた。
賑やかな会話の中で、わたしは少しだけ口を開く。
「……彼氏とか、そういうのじゃないけど……でも、一緒にいると、落ち着くの」
「おー、もう、それ完全に脈ありじゃん!」
「美帆、静かに」



