文具とアクセサリーが並ぶ雑貨屋で、わたしは無意識に「かわいい」と言葉をもらしていた。
「ひよりって、意外とこういうの好きなんだね」
「……うん、ひとりのときはあんまり見ないけど……紗英ちゃんとだと、なんか、安心するから」
「うわ、それめっちゃうれしい。もっといろいろ一緒に行こうね」
そのあと立ち寄った文房具カフェでは、ふたりでお気に入りのノートを一冊ずつ買って、お互いにそのページに落書きするという他愛のない遊びもした。
紗英ちゃんは猫のイラスト、わたしはカップに入った小さな草花を描いた。
「ひより、ほんとに絵うまいよね。なんか、雰囲気ある」
「ありがとう……でも、紗英ちゃんの猫も、かわいいよ」
「よっしゃ! じゃあこれ、交換しよ」
「……え?」
「お互いのノート、思い出ってことで!」
わたしは、照れながらも頷いた。
紗英ちゃんの明るさが、少しずつ自分の世界を広げてくれている気がした。



