君の隣が、いちばん遠い



放課後、教室の一角に集まった4人。


「場所、どうする? 図書館でもいいけど、部活帰りだと遠回りだよね」

「俺んち、どう? 静かだし、母さんもいないし、集中できると思う」


一ノ瀬くんの一言に、柊が食いついた。


「マジ!? それ最高! 神かよ、遥!」

「それじゃ、金曜日の放課後、一ノ瀬んち集合で決定!」


紗英ちゃんが明るく言い切り、話がまとまっていく。


わたしはその場にいながらも、少しだけ距離を感じていた。

けれど、紗英ちゃんがさりげなく隣に立って「ひよりも来てくれるよね?」と尋ねてくれたとき、安心感がじわっと広がった。


「……うん、行く」


そう答えた自分の声は、思ったよりしっかりしていた。





金曜日の放課後。

一ノ瀬くんの家に着いた4人は、リビングの丸テーブルを囲んだ。


観葉植物のグリーン、ふわりと香る紅茶の匂い、陽の光が窓から差し込んで柔らかい。