君の隣が、いちばん遠い



「柊、28点」

「……ふ、不本意……! 今回ちょっと調子悪くて……」

「調子っていうか、ほぼ空欄じゃないかこれ」


先生が冗談めかして言うと、教室が笑いに包まれる。


「いいか、柊。ちゃんと佐倉と一ノ瀬に教えてもらえよ。頼んだぞ」

「ラジャー! 助けて成績優秀コンビ!」


笑いながら頭を下げる柊くんに、わたしは小さく目を丸くした。


──勉強会。

そう聞いて、少し身構えてしまった。


人と何かを一緒にすること。

ましてや、何時間も同じ場所で、顔を合わせながら何かに取り組むこと。

それは、わたしにとってほんの少しだけ、勇気が要ることだった。


でも、ふと視線を横に向けると、一ノ瀬くんが「やってみようか」と微笑んでいた。

その笑顔を見て、わたしは小さくうなずいた。