「─そんな顔をするな、刹那。【運命】という概念が生まれたのは、お前だけの責任じゃない。飛鳥にも言われただろう?最愛を救うために、世界を狂わせたのは決して、悪ではないよ」 「……綴が教えてくれた話を、俺は皇を介し、ユエに伝えた。記憶の扉を叩き、こじ開けさせた。『忘れているのは困る』と」 「うん」 「あの言葉は、依月を救うために必要で……でも、綴からすれば、守人を忘れていることに対する叱責だったのか?」 刹那からの問いかけに、綴は微笑んだ。 それは寒気がするほど美しい笑みだった。