「…………それで?」
「末っ子は好きでもない知らない男の子供を産み、育てた。そして、早世している。その男の子は、四ノ宮家として、四季の家の頂点に立つ」
─……馬鹿馬鹿しい話だ。
そんなに権力が欲しいか。
人の命より、そんなものが重要か。
そんなものが、人の命に勝るのか。
「……っ、そんなものっ」
「うん。その通りだよ。そんなものが、頂点に立った。それから、数十年。相変わらず、無能ばかりが四ノ宮家の頂点に立つ中で、司宮家の初代が還ってきた。それに呼応するように、どこかで眠っていたらしい始祖も目覚め、始祖が愛した人も再生された。ここら辺の年齢差や時間軸が歪むのは、全て、始まりの存在である始祖が時を司る神だからだ。だから、始祖が最愛の存在を感知して目覚めた直後、最愛が人間のエゴで時の輪に放り込まれた時は、全てを知るものは戦慄した」
「上手く見えなかったあそこは、そういう理由ね」
「そう。─生まれた瞬間から、始祖の最愛は化け物だった。まぁ、前世が神様だからね。ふわふわしていて、何も知らぬ赤ちゃんのようなその子を、人々は化け物と呼び、即座に殺そうとした。─映像が1度、血にまみれただろう。それは、その人間達の末路だ。始祖の守護が、魂に付いている彼女は何も知らぬまま、家族を」
明確に言葉にされなくても、何が起こったのかくらいは理解出来る。
そんなことが行われているのとほぼ同時に、四季の家それぞれでは問題が起こっていて、氷見家に殺されてしまったのか。
─会えるはずだった。私のことを深く愛してくれていたはずの、家族は。


