席に着くと同時に、高道は口角をゆるめて雪乃を見上げた。
「お、ナナちゃん。やっと話せるね」
声は柔らかく、しかしどこか舐めるような視線が混じっていた。
雪乃は作り笑いを浮かべて会釈する。
「本日はご指名ありがとうございます」
高道はさっそくテーブルにあるボトルを手に取り、グラスに酒を注ぐ。
「ナナちゃんは何が好きなの?飲めるよね? 好きなやつ、なんでも言って」
「じゃあ、烏龍茶で」
反射的にそう答えた雪乃に、高道は露骨に眉をひそめた。
「えー、俺、一緒に飲める子が好きなんだけどなあ。せっかくなら楽しくやろうよ。ちょっとくらいなら、ね?」
逃げ場のない圧。
雪乃は笑顔を崩さぬまま、少しだけ苦笑して返す。
「弱いので……少しだけなら、いただきます」
グラスに注がれたのは濃いめのハイボール。
氷の音がチリチリと鳴る。
高道はぐいっと自分の酒を飲み、雪乃の方に身体を寄せた。
腕がテーブルをはみ出し、すこし彼女の膝に触れそうになる。
「ナナちゃん、可愛いよね。俺、ちょっと目が肥えてるんだけどさ。わかるんだよ、いい女って」
「……ありがとうございます」
喉の奥が詰まりそうになるのを、酒で流し込む。
高道は楽しげに笑った。
「ね、緊張してる? 大丈夫、俺、こわくないよ」
本命のキャストが出勤するまでの“つなぎ”であることは、会話の端々からわかる。
それでも、雪乃は笑顔を絶やさず、役目を果たすように、グラスを傾けた。
「お、ナナちゃん。やっと話せるね」
声は柔らかく、しかしどこか舐めるような視線が混じっていた。
雪乃は作り笑いを浮かべて会釈する。
「本日はご指名ありがとうございます」
高道はさっそくテーブルにあるボトルを手に取り、グラスに酒を注ぐ。
「ナナちゃんは何が好きなの?飲めるよね? 好きなやつ、なんでも言って」
「じゃあ、烏龍茶で」
反射的にそう答えた雪乃に、高道は露骨に眉をひそめた。
「えー、俺、一緒に飲める子が好きなんだけどなあ。せっかくなら楽しくやろうよ。ちょっとくらいなら、ね?」
逃げ場のない圧。
雪乃は笑顔を崩さぬまま、少しだけ苦笑して返す。
「弱いので……少しだけなら、いただきます」
グラスに注がれたのは濃いめのハイボール。
氷の音がチリチリと鳴る。
高道はぐいっと自分の酒を飲み、雪乃の方に身体を寄せた。
腕がテーブルをはみ出し、すこし彼女の膝に触れそうになる。
「ナナちゃん、可愛いよね。俺、ちょっと目が肥えてるんだけどさ。わかるんだよ、いい女って」
「……ありがとうございます」
喉の奥が詰まりそうになるのを、酒で流し込む。
高道は楽しげに笑った。
「ね、緊張してる? 大丈夫、俺、こわくないよ」
本命のキャストが出勤するまでの“つなぎ”であることは、会話の端々からわかる。
それでも、雪乃は笑顔を絶やさず、役目を果たすように、グラスを傾けた。



