過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

神崎は、そっとバスタオルの端を持ち上げると、肌に残ったゼリーを丁寧に拭き取った。

指先の感覚を伝えないように、手袋越しの動作は慎重で、優しかった。

「……怖かった?」

ゼリーを拭き終えると、神崎は手袋を外しながら、ふと問いかけた。

その声は、検査の緊張を和らげようとするように、やわらかくて落ち着いた響きだった。

雪乃は首元までバスタオルをぎゅっと引き寄せ、顔を少しだけうずめるようにして答える。

「怖くはないんですけど……なんか、怖かったです」

自分でも何を言っているのかわからなくなって、思わず笑ってしまう。

その笑いには、不安が解けた安堵と、照れが混ざっていた。

神崎も、矛盾した答えにくすっと笑った。

「じゃあ、着替えたら呼んでください」

そう言ってカーテンをしっかりと閉め、静かに部屋を出ていった。