過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

神崎がエコーの検査の準備を進めていると、検査室のドアが少し開き、看護師が慌てた様子で戻ってきた。

「すみません。外来で急変患者が出て、人手が足りないので、ちょっと行ってきてもいいですか？」と告げる。

神崎は手を止めずに、「はい、大丈夫ですよ。こっちは自分だけでやりますから」と静かに答えた。

看護師はそれを聞いて安心したように頷き、「着替えだけさせていきますね」と言い、神崎は察したように退室していった。

神崎の背中を見送りながら、看護師は雪乃に向き直り、
「シャツは脱いで、下着は全部ここにあるカゴに入れてください。バスタオルをかけて、横になってお待ちくださいね」と指示を出す。

彼女は丁寧に雪乃の着替えを手伝いながらも、廊下の外から聞こえてくる騒がしい声に耳を澄ませていた。

その物々しい空気が雪乃の胸の中にも伝わり、不安と緊張が一気に高まっていくのを感じた。

看護師は着替えを終えた雪乃に、バスタオルをきっちりとかけて身体を包み込み、足元には暖かいブランケットもかけて保温した。

「先生を呼んできますね」と優しく言って、また部屋を出て行った。

静かな室内に一人取り残され、雪乃は心の中でざわつく思いを抑えながら、これからの検査が無事に終わることを願った。

神崎が戻ってくるまでの短い間にも、期待と不安が入り混じり、胸が重たく締めつけられた。