部屋に戻り、鍵をかける音が静かに響いた。
靴を脱ぎ、少しだけ足を止めてポストの中身を確認する。
一通の封筒。
差出人名はなかったが、宛名は雪乃の本名──大原雪乃で。
不思議に思いながら、そっと開封する。
中から出てきたのは、小さな薬の箱が二つと、丁寧に折り畳まれた一枚の紙だった。
白地の便箋に、見慣れたきれいな字。
「空腹時は避けて。体調の悪い時は、まず休養が原則です。」
そんな一文が、まっすぐに書かれていた。
手がふと止まり、文字を目でなぞる。
どこまでも冷静で、だけど温かい。
それはまぎれもなく、神崎の手によるものだった。
胸の奥が、ふわりとあたたかくなった。
笑いが漏れる。
こんなふうに、約束を守る人なんだと。
あんな風に静かに言い切って、こうして形にしてくれるなんて。
言葉じゃない、信頼って、こういうことなのかもしれない。
守る、と言ってくれたあの人の声が、思い出される。
薬箱を静かにテーブルに置き、便箋を胸に抱いた。
こんなふうに、誰かの想いを受け取るのは、いつぶりだろう。
明日も頑張ろう。
そんな気持ちが、自然と芽生えていた。
靴を脱ぎ、少しだけ足を止めてポストの中身を確認する。
一通の封筒。
差出人名はなかったが、宛名は雪乃の本名──大原雪乃で。
不思議に思いながら、そっと開封する。
中から出てきたのは、小さな薬の箱が二つと、丁寧に折り畳まれた一枚の紙だった。
白地の便箋に、見慣れたきれいな字。
「空腹時は避けて。体調の悪い時は、まず休養が原則です。」
そんな一文が、まっすぐに書かれていた。
手がふと止まり、文字を目でなぞる。
どこまでも冷静で、だけど温かい。
それはまぎれもなく、神崎の手によるものだった。
胸の奥が、ふわりとあたたかくなった。
笑いが漏れる。
こんなふうに、約束を守る人なんだと。
あんな風に静かに言い切って、こうして形にしてくれるなんて。
言葉じゃない、信頼って、こういうことなのかもしれない。
守る、と言ってくれたあの人の声が、思い出される。
薬箱を静かにテーブルに置き、便箋を胸に抱いた。
こんなふうに、誰かの想いを受け取るのは、いつぶりだろう。
明日も頑張ろう。
そんな気持ちが、自然と芽生えていた。



