過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

「はい、ごはんできたよ。無理しないで、ゆっくり食べて」

ダイニングテーブルに並べられたのは、消化に優しい雑炊に温野菜、フルーツヨーグルト、ハーブティー。
昨夜の豪華な夕食に比べれば控えめだけど、身体への気遣いが感じられる、大雅の朝ごはん。

雪乃は椅子に腰を下ろすと、まだ少し眠たげな目で「いただきます」と手を合わせた。

「……あ、でも……この雑炊、美味しい……」
「でしょ? 胃に優しいし、ちゃんとエネルギーもとれるよ」

一口ずつ、丁寧に口へ運ぶ。
少しずつ目が覚めてきたのか、雪乃の表情が柔らかくなっていく。

食後の薬を受け取って、水と一緒に飲み下すと、雪乃がふうっと息を吐いた。

「……なんか、調子いいかも」
「うん、顔色もいい。だったら、少し体力づくりも兼ねて、軽くお散歩行ってみる?」

そう声をかけると、雪乃は目をぱちりと開いて、大雅を見つめた。

「……手、つないで行ってくれる?」
「もちろん。最初からそのつもりだったけど?」

そう言って手を差し出すと、雪乃は嬉しそうに小さく笑って、その手を握る。
ふわりと、あたたかいぬくもりが指先に伝わった。

「じゃあ、着替えて準備しようか。あんまり暑くなる前に出発しよう」

「うん……ありがとう、大雅さん」

少しだけ風の通る朝。
手をつないで玄関を出る二人の影が、寄り添うように並んで伸びていった。