過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

篠原が慌てた声で呼びかける。
「ナナ、神崎さんが早く卓に戻るようにって言ってるよ」

雪乃はゆっくりと息を吐いて、少しだけ微笑んだ。
「うん、ちょっと待って。落ち着いてきたから。すぐ行ける」

言葉とは裏腹に、体の震えは隠せない。
ハンカチを机の上にそっと置き、壁に手をついてゆっくりと立ち上がる。

飛び飛びの脈を気合いで誤魔化しながら、無理やり体を持ち上げた。
立った瞬間、めまいが襲いかかるけれど、必死に耐える。

篠原がじっと心配そうに見つめているのが分かる。
でも、弱さを見せるわけにはいかない。

「大丈夫」と自分に言い聞かせながら、ゆっくりと歩き出す。

内心では、こんな状態でまた客の前に立つ自分に嫌悪感が募っていた。
でも、それが現実。仕事をしなければ、生きていけないのだ。

弱さを隠しながら、雪乃はまた一歩、また一歩と前に進んでいく。