過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

神崎は自分の席から立ち上がると、すぐに篠原を呼びつけた。
「ナナを戻せ。今すぐだ。」

篠原は困惑の色を浮かべながらも、すぐに答える。
「ただいま戻りますので、もう少々お待ちを……」

だが神崎の口調は厳しかった。
「もう少しじゃない。今すぐ戻せ。戻せない理由があるのか?」

篠原は言葉に詰まり、しかし冷静を保とうと必死だった。
「確認してまいります」

神崎は怒りを押し殺し、苛立ちを飲み込んだ。
ナナは理由も告げず、黙ってバックヤードへ戻った。
それがただ事ではない証拠だ。

胸の奥がざわつく。
責任感が、胸の辺りを締めつけるように重かった。
このまま放っておけるはずがない。

篠原が背を向け、バックヤードの闇に飲まれていくのを見送った。
神崎は無言のまま、じっとその扉を見つめていた。

時間がもどかしく、鼓動が速まる。
焦燥が体の隅々まで染み渡り、
胸の痛みが刺すように強まっていった。

「大丈夫か」と自問しながらも、答えは出なかった。
今はただ、待つしかない。