部屋を出るとき、滝川が神崎の肩を軽く叩いて言った。

「支える人間がいるっていうのは、やっぱり大きいな」

神崎は小さく息をつき、ゆっくりとうなずいた。

「……ええ。彼女が、一歩を踏み出せるなら」

その言葉に嘘はなかった。医師として、そして彼女を想う一人の人間として。