夜の静けさが部屋を包み込む中、これまではそれぞれ別々の部屋で眠っていた二人。
でも今夜、大雅がそっと声をかける。

「雪乃、今夜は一緒に寝よう」

その言葉に、雪乃の頬がぱっと赤く染まり、慌てて目を逸らす。
その露骨な戸惑いが、彼にはたまらなく愛おしかった。

大雅は柔らかく笑いながら、そっと彼女の手を取る。
「そんな顔しなくていいよ。彼女と一緒に寝るのは、普通のことだろ?」

引かれるままに手を握られ、雪乃は少しだけ笑みをこぼす。

「ちゃんと身体を休めないと、明日も辛くなるから」

大雅の声は、医者としてだけじゃなく、彼女を大切に思う人間としての優しさに満ちていた。

そのまま二人は静かにベッドに腰を下ろし、ぴったりと寄り添う。
大雅はそっと腕を回し、雪乃の身体を包み込むように抱き寄せた。

「無理しなくていい。ここにいるから」

雪乃はその言葉に心を溶かし、深い安心を胸に抱いた。

窓の外で揺れる夜風が心地よく二人の間を通り抜け、
その夜、初めて同じ場所で眠るぬくもりが静かに広がっていった。