過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜

昼を、少し過ぎたころ。

枕元で、スマホが震える。

だるい体を引きずるようにして手を伸ばし、画面を確認する。

「5万。工面してくれ。」

父親からだった。

鼓動が、少しだけ速くなる。
それでも、もう驚くことはない。
いつものこと。何度目かの“無心”。

けれど今は、本当に余裕がない。
財布の中にも、口座にも、そんな額はない。

「無理だよ。そんな大金、ない。」

震える指でそう打ち、送信する。

既読がつくのも早かった。
そのすぐ後、返ってきた返信。

「3時頃、家に行く。」

言葉が、心臓に突き刺さる。

(まただ……)

スマホを、ベッドの端に放り投げる。
軽い音を立てて、シーツの上に転がった。

歯を食いしばって、ゆっくりと起き上がる。

乱れた髪を結び直し、
目の下のクマをコンシーラーで隠す。

外出するわけでもないのに、化粧を少しだけ直す。

誰に見せるわけでもない。
ただ、“弱っている”と思われたくなかった。

汗で湿った服を脱ぎ捨て、Tシャツとスウェットに着替える。

冷えた体が少し震える。

それでも、もう一度ベッドに横になった。

目を閉じる。
でも、眠れない。

来てほしくない。
けれど、拒否もできない。

彼がドアを叩く音が、すでに耳の奥で鳴っている気がした。